「まず、公園のようにいつでも気軽に立ち寄れる場所であること。そして1軒で満足してしまわず、銀座の街をハシゴできるよう量は少ない方がいい、と。それで“半分”をコンセプトに」(永野)
確かに、ランチ難民になりがちな銀座で通し営業は心強いし、小ポーションはアペロ(食前酒)使いにも最高。そして銀座のソウルフード、洋食の再定義をテーマに、複数のソースをちりばめた盛りつけは、フレンチのコース料理のような美しさだ。
「僕自身、洋食は一口目と最後の一口が同じ味で、勢いで食べる感じが少し苦手。組み合わせやソースの量などで印象を変えたり、味の変化を意識しました」(大橋)
「僕自身、洋食は一口目と最後の一口が同じ味で、勢いで食べる感じが少し苦手。組み合わせやソースの量などで印象を変えたり、味の変化を意識しました」(大橋)
そして大橋が唯一、ゲストシェフとして声をかけたのが、パリで自身の店〈メゾン〉を開き、世界的に評価される渥美創太シェフ。パリでも出会えない皿が予約なしで気軽に食べられるのは、20代のパリ修業時代から親交を深めてきた2人の信頼関係があってこそだ。

もう一品のカキフライも、一見タルタルと思えぬ美しいソースが主役。
「1/2って面白いコンセプトだなと思って」と参加を快諾したという渥美シェフ。記念すべき1作目・鴨肉のハンバーグは、実はコロナ禍の時期に家族のために作ったもの。“今まで食べた中で一番おいしいハンバーグ” と妻に言わしめた一品だ。
「ロックダウンで営業できなくなった時、大量の食材が手元にあって。その中の鴨肉を叩いて作ったのが最初です。もともと鳩やほろほろ鶏など鶏系が好きでよく使っていたから」
この鴨肉ハンバーグには、贅沢にも2種のソースが添えられる。

「デーツのピューレと柚子の果汁のソースは、〈クラウンバー〉時代の名物料理・鳩のパイ包みで使っていた大好きな味。もう一つ、ビーツとハイビスカスのソースとともに、〈メゾン〉ではお馴染みの味です」
もう一品のカキフライも、一見タルタルと思えぬ美しいソースが主役。
「カキフライはタルタルをつける量やタイミングで、食感も味も変化が出るはず。僕がふだん家や賄いで作っている “和洋食” 的な料理とフレンチのソース。その組み合わせを思い思いに楽しんでほしいですね

“半分サイズ” で提供するカジュアルダイニングが〈Ginza Sony Park〉に誕生! 世界的にもユニークなメニューはいかにして生まれたのか。
銀座は数寄屋橋交差点の〈ソニービル〉跡地に、今年1月に誕生した〈Ginza Sony Park〉。その地下3階にあるカジュアルダイニングが〈Nibun no Ichi〉。手がけたのはソニー企業 代表取締役社長・永野大輔と、彼が「食の圧倒的センスの良さ」に惚れタッグを組んだフードキュレーター・大橋直誉。ユニークなのは料理がすべて2分の1の量であることだ。
「まず、公園のようにいつでも気軽に立ち寄れる場所であること。そして1軒で満足してしまわず、銀座の街をハシゴできるよう量は少ない方がいい、と。それで“半分”をコンセプトに」(永野)
そして大橋が唯一、ゲストシェフとして声をかけたのが、パリで自身の店〈メゾン〉を開き、世界的に評価される渥美創太シェフ。パリでも出会えない皿が予約なしで気軽に食べられるのは、20代のパリ修業時代から親交を深めてきた2人の信頼関係があってこそだ。
「かつてのウォークマンのように、“1/2” が新たな食の代名詞になったら」と永野社長。ソニーらしいユニークな食卓が銀座にどんな刺激をもたらすか、楽しみだ。